ライフステージごとに「第1~3の転換期」と定義して、各転換期ごとに対処法などがまとまっていてわかりやすかった。
- 共働き夫婦が増えてきた。北米やヨーロッパでは65%を超える。経済的な理由、男女が等しく家庭にも仕事にも積極的に関わることで充実した人生を送れる
- 同程度の収入があり、家事を公平に分担しているカップルは破局率が48%も低い
3つの転換期
- お互いにもがき関係が不安定になるが、乗り越えることでアップデートできる
- 完璧なデュアルキャリアカップルなどいない
第一の転換期
- ハネムーン期間に終わりをもたらす転換期では、新たな人生に適応するだけでなく、お互い新しいやり方で相手に合わせなければならない。各自が独立したキャリアを持つ平行状態から、お互いを頼るくらしへと移行する。上手くいくカップルは、どうすれば上手くいくかを2人で慎重に探す。キャリアの優先順位や、家庭内の責任をどう分担するかを話し合うことが出来る。
この転換期の役割
- 並行、独立したキャリアや人生から、お互いを頼る状態への移行
引き金
- 二人で直面する最初の大きなライフイベント。転居や、キャリア上の大きなチャンス、深刻な病気、子供の誕生、再婚により2つの家族が1つになることなど
中心となる問い
- 「どうしたらうまくいく?」
- 目の前のライフイベントに対応し、愛とキャリアにおいて二人がともに成功できるような人生をいかに組み立てるか、考え出さなければならない
罠
- 経済的な判断基準に頼りすぎること
- 決断による長期的な影響を見落とすこと
- 実際的な問題に集中しすぎること
- すべてをこなそうとすること
どう解決するか
- 二人のキャリアのどちらを優先するか、家庭内の責任をどう分担するか。この2点について合意にいたるまで話し合い、大きなライフイベントに慎重に対応する。そうすることで、第二の転換期まで二人で辿れる道をつくる
ツール
- 二人の協定作り
価値観、限界、不安を書き出してみることが、二人の道を合流させる助けになる
- 分担による生き残り戦略
入念に家事の分担を検討することで、緊張や対立が緩和される
- キャリアの地図
それぞれのキャリアの道筋を予測することで、どのモデルにするか決める助けになる
振り返りたいポイント
- どう話し合うか
- コミュニケーションを崩壊させる4つの行動
・侮辱
・批判
・自己弁護
・壁をつくる - 思いやりを持つためのヒント
・小さな行動を通して示す
・相手の意図を良い方に解釈する。相手は自分の幸せを心から願っているまっとうな人物だと信じる
- コミュニケーションを崩壊させる4つの行動
- 一緒に選ぶための5つの問い
・キャリアにおける明確な目標が1つ以上あるか
・どれだけ意欲があるか
・もし子供がいるなら、親としてどういう役割を引き受けたいか
・パートナーとの関係においてどの側面が一番大切か
・他には何が大切か
第二の転換期
この転換期の役割
- 世間の期待や要求ではなく、自分たちがキャリア・人生・二人の関係に何を望むか見極め、それを追求することに集中する
引き金
- ライフステージの一部として生じる個性化への衝動と、対一の転換期の結果としてできた役割分担に再び取り組む必要性。この2つの組み合わせが引き金になる
中心となる問い
- 「本当に望むものは何か」
- 各自がそれぞれの興味や願望を見極めなければならない。次いで、それを追求するのを助け合う方法を見つけなければならない
罠
- パートナーの探求を不審に思い、自己防衛しようとする
- 成長を支え合うことができない
どう解決するか
- お互いの個性化
- お互いが安全な拠点となる関係を気付き、二人がともに個性化できるようにする。
- 相手の人生の中で果たしている役割を見直す。
- 第一の転換期に確立したキャリアと家庭内の責任の分担を再び話し合う
ツール
- お互いが安全な拠点となる関係を育てること
転換期にあるパートナーを支えるための最善の方法を理解し、お互いが相手を頼れる関係を気付く- 探求を奨励すること
パートナーが別の道を試すことを心からサポートする。興味を持ち、考えに耳を傾け、話し合う。挫折したときは同情によって消そうとせず、安全な避難所を提供しつつ、穏やかに相手を探求へ押し戻すことが大事 - 干渉しないこと
踏み込みすぎずアドバイスは我慢し、聞き役に徹する。二人の関係という安全な場所から愛情をこめて背中を押すにとどめる - 心のサポートをすること
パートナーの感情の噴出に付き合い、痛みを直そうとせず受け入れること
- 探求を奨励すること
振り返りたいポイント
- 関係のレジリエンスを強化
マインドセットには2種類ある
・固定型マインドセット→知能、能力、性格は変えられないと思っている
二人の間に問題が起きたとき、「ふさわしい相手ではなかった」と考えてしまう
・成長型マインドセット→努力によって発展させられると思っている
つらいときをともに乗り切れば二人の関係は育つと信じている
成長型マインドセットを育て、二人の関係のレジリエンスを強化することが必要- ①おとぎ話のような「唯一無二の伴侶」のイメージを捨てる
良い関係を保っているカップルは、お互い相手のために時間や労力をかけているからその状態なのであって、キューピッドの矢に打たれたからではない - ②パートナーの努力に対して感謝を示す
完璧な人間はいない。誰もが時には相手を傷つけることもある。大事なのは長い目で見たときの真意と努力である。相手の努力に感謝を示せば、相手はさらに力を注ぐことで応えてくれる。 - ③難題をネガティブなものでなく、成長の機会ととらえる
辛い時期にこそ、二人の関係はレジリエンスを獲得できる、第二の転換期でも多くの難題に行き当たるだろうが、それを必要なもの、助けになるものとして受け入れることだ。 - ④結果より過程に重きをおくこと
パートナーにこんな風に言うことは無いだろうか。「Xになったら、のんびりしましょう/休暇を取りましょう/お祝いしましょう」問題は、1つのXがかんたんに次のXにすり替わることろ。成長するためにはプロセスが大事なのであって、目的地に到達したから成長するわけではない。ともに混乱の中にある状態そのものをじっくり体験するべきだ - ⑤お互いの成長を祝うこと
昇進とか昇給とか表彰とか、目に見えてわかる成果が無ければお祝いをしないというカップルはあまりにも多い。困難を乗り越えたとか、大事な話ができて気が楽になったとか、カップルの中で起こる成長を祝うのも、成長型マインドセットを保つのに大事なことである
- ①おとぎ話のような「唯一無二の伴侶」のイメージを捨てる

第三の転換期
この転換期の役割
- 最初の2つの転換期で作られた大事な役割を失った場合、その喪失によってできたアイデンティティの空白を埋める
引き金
- 職場で一番のベテランになる、家から子供たちが巣立っていく、今までより上の世代とみなされるようになるといった役割の変化。これらは、喪失感を伴うアイデンティティの空白を生むがチャンスでもある。
中心となる問い
- 「いまの私たちは何者なのか」
- カップルは、役割の変化によって失ったものを惜しみつつ、もたらされた新たなチャンスを歓迎して、なりたい人間になるために人生の道を整える必要がある
どう解決するか
- 新しい野心や優先事項を考慮に入れたうえで、自分たちがどうなりたいかを、遊び心を持って考えると、地に足の着いた刷新ができる。過去に成し遂げてきたことに基づいて、将来への可能性を開いたまま、自分たちを刷新していく
ツール
- 熱中できる共通の趣味
- 一緒に成功できる時間や空間をつくるために、共通の興味か目標を持つ
振り返りたいポイント
- もう一度探求者になる。再教育と再起動、フリーランス、兼業、起業など
2人の協定作り
- 価値観、限界、不安の3分野について話し合い、共通の基盤を見つける
- 価値観
何を幸せと感じ、何を誇りに思うのか。何に満足を感じるのか、いい人生とはどんな人生か。人は自分の価値観を持って人生が望み通りであるかを判断する。 - 限界
はっきり限界を決めておくことで意思決定が容易になる。地理的限界(住んでみたい場所、避けたい場所など)、時間的限界(どれだけ仕事に時間を避けられるか)、在不在に関する限界(出張や出向に耐えられるか、最低限一緒にいたい時間は)。限界を話すと、選択の幅が狭まり制約がきついと感じるかも。だが、選びやすくもなり、結果にも満足しやすい。 - 不安
二人の関係やキャリアについて、どんな、どんな不安を感じているか。不倫や家族との関係など挙げていけばさまざまだが、セネカのいうように「私たちを苦しめるのは現実ではなく想像なのだ」。不安を話し合うことで、お互いにより気を配り、不安が現実になり始めた時の兆候がわかる、不安を軽減するための対策を取れる。
どう話し合うか?
- 4つの有害な行動
- 侮辱
- 批判
- 自己弁護
- 壁を作ること
- 思いやりを示す
- 寛大さと思慮深さのこもった小さな行動を示す(コーヒーを入れたり肩を揉むとか)
- 相手の意図をいいように解釈する(善意があると信じ、相手を責めずに外的要因のせいにするとか)
- どんなカップルでもネガティブなコミュニケーションをとってしまうことはあるが、ポジネガ5:1くらいの割合だとカップルは上手くいくらしい
- 相手の話に100%集中する
- 今日はどうだった?と聞くことから始めよう
- 何かを決断する時には、お互いのどんな人生を送りたいか、どんな人間になりたいかなどのアイデンティティを考慮することが重要。目の前の問題の対処だけを目的としたり、経済的な合理性に判断基準を置くことは避ける
家事の分担
- 50:50での分担は幻想。話し合って決める
- ①全ての家事をリストに書き出す
平均すると男性が16時間/週、女性が26時間/週 - ②やめられる家事を探す
家の中はいつも完璧に片付いている必要があるか?など - ③自分がやりたいのはどれか
- ④どれを外注できるか
- ⑤残りを分担する
- 完全に分割するか、交代制にするカップルもいる
キャリアの優先順位
- どちらのキャリアを優先するか?いくつかのモデルがある
- 1番手/2番手モデル
- どちらのキャリアを優先するか決め、2番手は家庭内の役割を引き受ける
- 交代制モデル
- 3~5年ほどで1番手/2番手を交代する
- 2人とも1番手モデル
- 大変だが、それを誇りに感じているカップルが多く満足度が高い
- あなたは人生に何を求めますか
- あなたの野望はなんですか
- カップルとしてどんな人生を送りたいですか
- それはどちらが決めますか
- 各自の本当の気持ち、ニーズ、不安、望みに基づいて一緒に決断を下すなら、どの選択しても満足できる。犠牲を払うなら、相手のためではなく、自分が作り出した人生のため、なろうと意図したカップルになるため。
子育て
- 平均では、母親は18時間/週、父親は9時間/週。
- いまだ夫が子育てを「手伝う」というジェンダーロールの意識は根強い。
- 在宅の親と共働きの親で、子の発達や幸福度に差はなかった。本当に問題になるのは親やほかの大人に対して子供が抱く愛着の差。愛着が強固で親密なら、働いていてもいなくても子は元気に育つ。時間が取れなくても罪悪感を抱かなくて良い
- キャリアの分担と同様のモデルがある。
- 中心となる親を決める
- 交代制モデル
- 共同子育てモデル
どうしたら2人が上手くいくかを慎重に話し合う
- キャリアにおける明確な目標が1つ以上あるか
- どれだけ意欲があるか
- もし子供がいるなら、親としてどういう役割を引き受けたいか
- パートナーとの関係においてどの側面が一番大切か
- 他には何が大切か